熟女モノ
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Oh what do you want
なんだかんだ言ったって
老いてく君の美貌も
いいだろう訳ありの過去も
愛してあげよってなもんさ
Mr.Children♪ 『ラヴ コネクション』
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オチンロンがオマンレンに出会い、ンパンパする街、渋谷。
季節は初秋に差し掛かるというのに、強い陽射しが、まるで夏を惜しむ様に照りつけてくる。
そんな昼下がり。
織葉(おりは)はガードレールに腰掛けていた。
コンビニで買った、ウィルキンソンを飲みながら、道行く人たちをぼうっと眺める。
女性達が、人気のファストファッションのショップに吸い込まれていく。
…
風がそっと気遣う様に織葉の頬を撫でる。
鼻腔をくすぐる少し生暖かい風の匂い。
織葉はその香りの中に、夏の終わりを見つけていた。
そして、ぬるくなったウィルキンソンを一気に飲み干す。
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センター街から、フォーエバー21の前。
交番の脇のゲームセンターへと抜ける道。
この場所で沢山のドラマに出会えた。
今でも思い出せるトキメキの瞬間。
言えなくて飲み込んでしまった言葉。
寒さと悔しさに震えたあの日。
理解しあえなかったあの女性の事。
ほろ苦い思い出の方が多いはずなのに。
その1つ1つが今では素直に笑える。
まるで宝石みたいな煌めきに変わっていく。
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織葉は小さく息を吸い込み、顔を上げた。
さあ、今日はどんなメロディーを奏でよう?
調子外れでも、不協和音でも構わないさ!
共鳴しながら協奏するシンフォニー!
さあ…
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道ゆくぴちぴちギャルに声をかけていく。
1人目 シカト
2人目 シカト
3人目 シカト
4人目 シカト
5人目 シカト
6人目 シカト
7人目 シカト
8人目 シカト
へいへいへい♪ まだまたいっくよぉー♪
9人目 顔グダ
10人目 顔グダ
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11人目 顔グダ
12人目 キモいグダ
13人目 生理的に無理グダ
14人目 臭いグダ
15人目 口が臭いグダ
16人目 脇が臭いグダ
17人目 股が臭いグダ
まだまだぁぁぃ!
ジャンジャーン行っくよぉぉ♪♪
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18人目 キモいグダ
19人目 キモ臭いグダ
20人目 キモくて股が臭いオジサングダ
21人目 シンプルにシカト
諦めたら試合終了なんだぜ?♪
さあさあ、ジャンジャーン声かけようぜ?♪
イエエエエエーーーイ!!♪
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織葉が、なかば引退を決意しかけたその時!
22人目 スラッとした巻き髪のギャル発見!
後ろ姿しか見えないが、美女に違いない!
素早く背後に回り込む。
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カバディ!!
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ビタ止め。
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熟女 スト値6
特徴:後ろはギャル、前は熟女。声をかけたからには引くに引けない。どうしよう。正直やっちまった。でもスタイルは良い。
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織葉「お姉さん遊ぼ(╹◡╹)」
熟女「え、なになにww」
織葉「遊ぼ(╹◡╹)」
熟女「いやいやw買い物するからw」
織葉「買い物良いね!行こ行こヾ(๑╹◡╹)ノ"」
熟女「なになに?wwお笑い芸人?ww」
織葉「うん、ヨシモト∞ホール♪」
ZARA in
一緒にお目当ての服を探す。
どうやら店頭に無いみたいだ。
織葉「店員さん、すいませーん!在庫確認してもらえますか?」
熟女「いやいや、そこまでしなくていいってwてかキミホントだれ?ww」
ZARA out
織葉「買い物って喉乾くよね?ビール飲もうよね?(╹◡╹)」
熟女「これから予定あるけど、少しだけなら良いよw」
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プロント in
織葉「ボク、ビール飲めないからチャイラテ(╹◡╹)」
熟女「誘っといてビール飲めないのかよww」
当たり障りのない会話をする。
どうやら熟女は北関東から東京に来たようだ。
今日は色々買い物して、この後も友達と約束があるとの事。
織葉「東京にはよく来るの?」
熟女「そうだねー休みの日はたまに来るよ」
織葉「休みの日は一人でプラプラ?」
熟女「そうだよーお城巡りとかw 神社巡りとかw」
織葉「ああ、御朱印帳集めとか?w」
熟女「うん♪やってるーwww」
熟女らしく、渋い趣味だ。
それにしても、今日は時間的に余裕が無さそうだ。
後日遊ぶ方向に持っていく事にした。
織葉「連絡先教えて(^^)」
熟女「メール?」
織葉「LINEが良いな」
熟女「私、LINEやってない」
織葉「またまたー」
熟女「本当に。アプリ自体入れてない。同級生の子どもが高校生なんだけど、最近の子はみんなLINEやってるみたいね?」
織葉「……ええ、そうみたいですね(´-`)」
仕方ないので電話番号を交換。
iモード以前の懐かしきショートメール。
しかし、やり取りそのものは順調に進み。
やがて、再開の日が来た!
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猛るオチンロンと荒ぶるオマンレンがスクランブル交差する街、渋谷。
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この日、織葉が再会の場所にこの街を選んだのは、きっと偶然じゃなかった。
織葉は、この渋谷という街が好きだった。
理由は自分でも解らない。
この街で嬌声を上げる若者達と自分は異なる人種だと理解している。
ましてや、織葉は『ギャル』と呼ばれるイケイケの女性に好かれるタイプでは決して無い。
それでも織葉はこの街が好きだった。
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あれは、いつだっただろうか…
真夜中に街をナンパしながら徘徊していた時。
視界の端をドブネズミがかすめていった。
忌み嫌われ、疎ましがられる彼ら。
それでも、懸命に生きようとする彼ら。
何故だろうか。
その夜は、そんな彼らと自分の姿が重なった様に思えた。
そんな事を思い出しながら待ち合わせ場所に向かう。
…
ふと、我に帰る。
時刻は20:00。
ヒカリエの前に彼女は居た。
出会った日と同じ、美しい後ろ姿で。
その美しいスタイルを維持するために、彼女はどれだけの努力をしているのだろう?
そんな女としてのプライドこそが、何よりも美しいと思えた。
…
織葉「こんばんは(╹◡╹)」
熟女「久しぶりww」
織葉「今日も遠くから来てくれてありがとう!お店予約してるから、行こっか♪」
熟女「うん、あ、でも今日は終電が22:30だから、あんまり居られないよ?」
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ヘイ、ミステリー。
今の彼女のセリフを聞いたかい?
アメリカ人のアンタの為に翻訳してやるよ。
「2時間以内に私をベッドまでエスコートしてね?」…彼女はそう言ってるのさ。
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道すがらのトーク。
IOIは確認出来ている。悪くない。
段差を気づかうフリして手を握ってみる。
拒否反応は無い。
すんなりと受け入れられる。
そのまま行きつけのバー in
乾杯してトークを展開する。
織葉は彼女についてどこまで知っている?
年齢不明。(おそらくアラフォー)
仕事不明。
…しかし、今日はそんな話をしている時間が無い。
彼女は幼少期から北関東出身。
彼氏有り。
アポに来た女性が『彼氏有り』は好材料になる事を織葉は経験から学んでいた。
彼氏が居るにも関わらず『ナンパ男と後日会っている』。
その事実そのものが、IOIだと言えるだろう。
彼氏とは付き合って数年になるらしい。
マンネリに不満を持っている様子だ。
まあ、よくある話だ。
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小1時間和む。
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織葉「そろそろ出ようか?コンビニでハーゲンダッツ買って食べよう?」
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熟女「ハーゲンダッツ好きー♡」
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ハーゲンダッツ(マカダミアンナッツ味)を購入し…
ホテル in
からの…
ベッド in
熟女「私、その…ちょっと久しぶりなの…」
織葉「そうなの?まさか1ヶ月ぶりとか?w」
熟女「いや、もっと…全然…」
織葉「そーなの?俺はあんまり気にしないけど、心配ならゆっくりしようか(^^)」
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さあ…
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ホテル out
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ラブホ街から駅まで彼女を送り届ける。
手を繋いで、裏の路地を通り抜ける。
今夜、ドブネズミ達は、どこかへ影を潜めているみたいだ。
…
これから彼女は小旅行の様な家路につく。
熟女「来週、ディズニーに行くんだー♪」
無邪気にはしゃぎながら彼女は言う。
ああそうか。女性はいくつになっても『少女』のままなんだ。
センター街から、フォーエバー21の前。
交番の脇のゲームセンターへと抜ける道。
また1つ宝石みたいな素敵な思い出が増えた。
…
いや…
最期にもう1つだけ聞き忘れていた。
改札に向かう通路。
織葉「そう言えば、エッチは何ヶ月ぶりだったの?まさか半年ぶり。とか?w」
熟女「ああ、その話ね……3年ぶり。くらいかな?♡ さっきは気持ち良かったよ♡ バイバイ♡」
…
おしまい。